「甲子園V」の秘策は「不登校あるある」 フリースクール生がTikTokに思い込め動画制作

2024-08-22 HaiPress

不登校の生徒のための「甲子園」がある。短い動画の出来栄えを競う大会だ。共通テーマは「学校へ行きたくない君へ」。全国から参加する延べ221の個人・チームのうち、都内のフリースクールの生徒たちでつくるチームの「甲子園への道」を追った。

動画甲子園に出場するため、オンラインで仲間と打ち合わせするえすぱーさん=品川区で

◆興味がわき、オンラインでメンバー募集

品川区の「SOZOW(ソゾウ)スクール」。動画甲子園に参加する5人が話し合っていた。が、教室にいる生徒は都内在住の中学2年女子えすぱーさん(13)だけ。他の4人はオンライン。傍らでスタッフの廣崎由佳さん(37)が見守る。

バーチャルキャンパスでの動画づくりの打ち合わせの様子(SOZOW提供、一部画像処理)

SOZOWはオンライン主体のフリースクール。全国の小学4年~中学3年生がパソコンなどで「登校」し、勉強や課題に取り組む。えすぱーさんは通学コースに在籍し、オンラインと通学を組み合わせている。

6月下旬、動画甲子園への参加を勧められた。動画は得意ではないが、興味がわいた。「同じ不登校の人が見て安心できるような動画を作りたい」。仲の良いスクール生にオンラインで呼びかけ、イラストがうまい四国在住の中学3年女子ぱぴこさん(15)、動画編集が得意な関東在住の中学2年女子とけるちいずさん(13)と男子2人。計5人のチームが生まれた。

◆プロデューサー役を担ったえすぱーさんは

最初の打ち合わせは7月9日。「テーマは『不登校あるある』で」と、えすぱーさんが対話アプリ「スラック」で呼びかけると、4人からアイデアが次々に届く。「給食が恋しくなる」「平日は親を盾に外出」。えすぱーさんは意見をまとめ、誰がどの絵を描いて、何日までに編集して…などと役を割り振るプロデューサー役に徹した。

肱岡佑さん(左から2人目)らスタッフと笑顔で話し合うえすぱーさん(左)=品川区で

仲間と楽しく話し、面倒見が良く、スタッフの大人ともよくしゃべり、よく笑うえすぱーさん。不登校は小学5年の2学期から。教室にいるのがつらくなった。「授業中、おしゃべりしている人が多くて、すごい気になって」。両親は、教室の雰囲気、人間関係、仲の良い友人の転校、頑張りすぎる性格など「いろいろなことが複合的に絡み合った結果」とみている。

勉強は嫌いではない。不登校中も塾で学び、中学受験して私立中に合格。そこでも不登校になり、現在は公立中に在籍。自宅学習しながらSOZOWへ通う。

◆「不登校への偏見、あると思う」でも…

オンライン打ち合わせを重ねた後の7月18日、トラブルが発生した。イラスト担当のぱぴこさんが「チームを降りたい」。SOZOWの行事の準備で頑張りすぎて燃え尽き、筆が進まなくなったという。えすぱーさんはその行事の司会を務めていたので、事情はよく分かる。「それだけ超本気で頑張ったんだね!」。ぱぴこさんを励まし、スタッフの肱岡佑さん(29)のアドバイスを受けながら、他の仲間と作業を進めた。

動画に登場するイラスト(SOZOW提供)

提出締め切りの同31日、15秒間の動画「不登校あるある」が無事に完成。

えすぱーさんは動画甲子園にこう期待する。「不登校への偏見、あると思う。元気ないとか、しゃべらないとか。そんなことない、いろんな子がいて、頑張っているって知ってほしい」

SOZOWスクールのチームが作った動画はこちらから

「TikTok(ティックトック)不登校生動画甲子園」は、動画投稿アプリTikTokの運営会社などでつくる事務局の主催。不登校を経験した13歳以上20歳未満の個人かチームが短い動画を制作し、審査委員長のタレント中川翔子さんら著名人が審査。25日に東京都現代美術館(江東区)で表彰式を行う。

事務局を務める不登校ジャーナリスト石井しこうさんは「不登校生は怠けているわけでも、自分を悲観しているわけでもなく、自分や社会に真摯(しんし)に日々、向き合っている。その姿を見ていただきたい」と話した。

◆文・榎本哲也/写真・川上智世、榎本哲也

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