お隣の豊島区は約3年、なのに文京区はなぜ7年超? 住民が見直しを求める都心の小学校の切実な改築事情とは

2024-08-26 HaiPress

東京都文京区で、老朽化した区立小学校の改築が7年を超える計画が相次いでいる。近くに広い土地を確保できず、仮校舎を敷地内に造り手狭になるため、校舎の解体と建設を同時にできないためだ。工事の長期化により「教育や生活環境の悪化につながるのでは」と懸念する住民らは、計画の見直しを求めている。(押川恵理子)

築86年、児童約600人が通う文京区小日向台町(こひなただいまち)小は2026年度末以降、仮校舎を校庭に造り、旧校舎を改築する。設計業者は6月の住民説明会で、「工期は約7年3カ月の見通し」と示した。保護者たちからは、子どもの学びへの影響を心配する声が相次いだ。

改築が計画されている小日向台町小。周辺の道路は幅が狭く、一方通行が多い=本社ヘリ「あさづる」より(川北真三撮影)

◆工期中は校庭が使えず、登下校時の安全も心配

工期中は校庭が使えなくなり、屋外の体育の授業は歩いて8分ほどかかる区立施設で行う。事故が起きないよう、登下校や授業で児童が歩く道を、工事車両と分ける必要がある。

別の敷地に仮校舎を確保できれば、工事は3年程度で済む。だが、肝心の土地が見つからない。仮校舎として使える廃校もない。全国的に少子化で小学校の統廃合が進む地域も多いが、文京区の児童数は10年前より4000人以上増え、1万2814人(4月時点の6~11歳)で、教室不足という問題が起きている。

◆校舎の解体と建設が同時にできず…

6月に改築を終えた誠之(せいし)小(西片2)は7年3カ月かかった。柳町小(小石川1)は埋蔵文化財調査も重なり、予定よりも1年9カ月遅れ、7年半かかる見通し。いずれも、仮校舎を敷地内に建てる方法だ。

小日向台町小の場合、周辺の道路事情から「7年3カ月」の見通しがさらに延びる恐れもある。道路の幅が狭く、大型車両がスムーズに通行するのが難しい。区の担当者は「中型車両を中心に工事を進める方針だが、警察などの許可を得られれば大型車両もある程度使える」と説明する。

実は学校近くには、約4500平方メートルの国家公務員住宅の跡地がある。住民側は10年以上前から学校改築時の活用を望み、区も一時検討した。しかし、3月に民間事業者が特別養護老人ホームを整備する計画が決まった。特養への入所待ちの人が多いためで、区は整備への理解を求めている。

老朽化した小日向台町小(上)と住民が仮校舎建設を要望する国有地(手前の空き地)

6年生の保護者で、4歳の第2子も入学予定の有馬美穂さん(42)は「安心して学べる環境が守られるべきだ」と訴える。保護者らは計画見直しを求めて署名活動をし、行政訴訟を起こすことも視野に入れている。

◆隣の豊島区は民有地を借りての建て替え計画も

都心部の校舎改築や建て替えではスペースの確保に苦労する事例が少なくない。文京区の隣の豊島区では民有地を借り、計3校を建て替える計画が進む。

豊島区は、子どもの学習環境に配慮しようと、統廃合で使わなくなった校舎を仮校舎として、建て替えを進めてきた。2027年度には区立小中計30校のうち11校で完了する。

駒込地域では仮校舎を確保できず、日本郵船の社宅敷地約3400平方メートルを、25年4月〜45年3月の20年間、月額約709万円で借りる。25年度以降に社宅を解体し、隣接する築61年の駒込小、近隣の仰高(ぎょうこう)小、駒込中を順次建て替える。1校当たり、3〜3年半ほどの工期になるという。

区の担当者は「民有地を借りるのは23区内でほとんど例がない手法。児童・生徒の安全や学習環境を確保しながら改築できる」と説明した。(長竹祐子)

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